

家計簿アプリとVisaプリペイドカードが一体になった「B/43(ビーヨンサン)」の後払い機能は、急な出費の際に便利なサービスです。
しかし、この「あとばらいチャージ」を現金化しようと考えたとき、見過ごすことのでない大きな問題が「手数料」です。
一時的に現金を手に入れるために、一体いくらのコストを支払う必要があるのでしょうか。
この記事では、ワンバンク(旧 B/43)の現金化で発生する「手数料」に焦点を絞り、その複雑な構造と、利用者が最終的に負担することになる総額について、詳しく解説していきます。
ワンバンク(旧 B/43)の現金化を検討する際、まず理解しなければならないのは、手数料が「一種類ではない」という点です。
利用者は、少なくとも二重のコスト構造の中に足を踏み入れることになります。
この二つの手数料を理解することが、現金化がいかに経済的に不合理であるかを把握するための第一歩です。
一つ目は、現金化の元手を用意する段階で必ず発生する、B/43の運営会社に支払う公式の手数料です。
「あとばらいチャージ」は借金ではないものの、信用を元にお金を後払いでチャージするサービスであるため、その利用料としてチャージ金額に応じた手数料が設定されています。
これは、現金化という目的の有無にかかわらず、あとばらいチャージを利用するすべての人に課されるコストです。
二つ目は、チャージした残高を現金に換える段階で発生する手数料です。
専門の現金化業者を利用する場合は、業者が定める「換金手数料」が引かれます。
これは業者の利益となる部分です。
一方、自分で商品を購入して売却する方法(セルフ現金化)では、商品の購入額と売却額の差額である「換金損」が、実質的な手数料として機能します。
まずは、避けることのできない公式の「あとばらいチャージ手数料」について、その具体的な金額を見ていきましょう。
この手数料は、チャージする金額の区分に応じて、あらかじめ決められています。
あとばらいチャージの手数料は、チャージする金額が大きくなるほど高くなる、段階的な料金体系になっています。
少額のチャージでも必ず手数料が発生するため、無料で後払いができるわけではない点をしっかりと認識しておく必要があります。
B/43が公式に定めている、申請金額ごとの手数料は以下の通りです。
申請金額が3,000円から10,000円の場合、手数料は500円です。
申請金額が11,000円から20,000円の場合、手数料は800円です。
申請金額が21,000円から30,000円の場合、手数料は1,150円です。
申請金額が31,000円から40,000円の場合、手数料は1,500円です。
申請金額が41,000円から50,000円の場合、手数料は1,800円です。
※上記は記事作成時点の情報です。
最新の情報は必ずB/43の公式サイトでご確認ください。
例えば、5,000円をチャージすれば500円、上限の50,000円をチャージすれば1,800円の手数料がかかります。
次に、専門業者を利用した場合にかかる「換金手数料」についてです。
これは一般的に「換金率」という言葉で表現されることが多く、利用者が最も注視する部分ですが、その数字には注意が必要です。
ワンバンク(旧 B/43)のような後払いアプリに対応した現金化業者の換金率は、70%~85%が一般的な相場です。
これは、換金率が80%であれば、残りの20%が業者の手数料になるということを意味します。
つまり、利用者はチャージした金額の15%から30%という、非常に高額な手数料を業者に支払うことになるのです。
では、これら二つの手数料を合計すると、利用者が負担するコストは最終的にいくらになるのでしょうか。
ここで、最も利用が多いであろうケースを想定して、具体的なシミュレーションを行ってみましょう。
B/43の「あとばらいチャージ」で、上限額の50,000円をチャージする。
その50,000円を、換金率80%の現金化業者に依頼する。
まず、50,000円をチャージした時点で、B/43の公式手数料が1,800円発生します。
次に、業者の換金率が80%なので、手数料は20%です。
50,000円 × 20% = 10,000円が業者の手数料となります。
最終的に銀行に振り込まれる金額は、50,000円から10,000円(業者手数料)を引いた、40,000円です。
翌月末にB/43に支払う総額は、50,000円(チャージ額)に1,800円(チャージ手数料)を加えた、51,800円です。
現金化にかかった手数料の総額は、1,800円と10,000円を合計した11,800円となります。
支払うべき51,800円と、手に入れた40,000円の差は、11,800円となります。
このシミュレーションから、わずか40,000円の現金を手に入れるために、11,800円もの大金を失っていることが分かります。
これは、一時的な資金繰りのためのコストとしては、あまりにも高すぎると言えるでしょう。
さらに、もう一つ忘れてはならない手数料があります。
それは、万が一、翌月末の支払いに遅れてしまった場合に発生する「遅延損害金」です。
B/43の「あとばらいチャージ」は、定められた支払い期日を1日でも過ぎると、遅延損害金(延滞料)が発生します。
その利率は年率14.6%以下と定められており、日割りで計算された金額が未払い残高に加算されていきます。
高額な手数料をかけて現金化 したにもかかわらず、支払いが遅れることで、さらに負担が増えてしまうという悪循環に陥る危険性があります。
ワンバンク(旧 B/43)の現金化を検討する際には、「あとばらいチャージ手数料」と「換金手数料(または換金損)」という、少なくとも二重の手数料構造になっていることを絶対に忘れてはいけません。
シミュレーションで示した通り、手元に入る現金と、将来支払うべき金額には、驚くほど大きな隔たりがあります。
これは、サービスの利用規約に違反するというリスクを冒した上で、さらに経済的にも大きな損失を被る、極めて不合理な行為です。
手数料という観点から見れば、現金化がいかに割に合わない資金調達方法であるかは明らかです。
もし、どうしても現金が必要な場合は、手数料の総額を冷静に計算し、その負担の大きさを理解した上で、より安全でコストの低い正規の金融サービスなどを検討することを強くお勧めします。